Melting Pot of Thoughts

SaaSスタートアップのCTOです。思考の整理のため考えたことをメモとしてアウトプットしていくブログです。

成長するためには仕事時間は長いほうがいいのか短いほうがいいのか

仕事で成長するためには『仕事時間が長いほうがいい』という意見と『仕事時間は短いほうがいい』という相反する意見が世の中にはあります。
前者は昔からよく言われていた意見、後者は働き方改革の流れなどもあってよく言われるようになった意見であるように個人的には感じています。

 

『仕事時間が長いほうが成長する』という意見が成立するロジックは直感的でわかりやすいです。
要は仕事=成長のための課題、であるため、仕事量が多ければ多いほど成長速度が早くなるという考え方です。
さらにいうと、速く成長するとこなせる仕事量がさらに増えるのでより成長速度が上がる…、という複利の効果もあります。「若いうちはとにかく苦労してもいいから残業してもいいからガンガン仕事べきだ」という意見はそういう背景から来ているのだと思います。

 

一方『仕事時間が短いほうが成長する』という意見は、特にホワイトな働き方を標榜するような組織(大企業等)においてよく言われる印象です。
ロジックとしては、生産性=アウトプット量 / 仕事時間 であり、前者の長時間労働の例のようにアウトプット量を増やすことを目的とするのではなく、生産性を高めることを目的とすべきだ、という意見でです。
この意見はプライベートな時間もしっかり確保したい多くの現代の社会人には歓迎されています。また企業側としても(裁量労働でない場合)賃金はアウトプット合計量というよりは(時給という形で)生産性に対して支払われるため、推奨されている印象です。

 

 

ここまで見てきたように相反する意見になっていますが、どちらも正しい側面があると思っています。結局は条件次第だと思います。

 

私が好きな概念で"守破離"という言葉があります。
武道などで使われる言葉ですが
『守:最初は型を忠実に守って体に染み込ませ』
『破:型を改善する』
『離:自分なりの型を編みだす』
という意味の言葉になります。

仕事においてもまさにこの概念が当てはまると思っており、この3つのうちのどの段階にいるかにより仕事時間が長いほうがいいのか短いほうがいいのかが変わります。 

 

”守”の段階では、仕事時間が長ければ長いほうが成長できます

ここでの”成長”は『仕事のやり方を覚え、速度・質を向上させる』ことを指します。
同じ仕事を何度も対応することで体に覚えさせ、ほぼ何も頭で考えなくても体がスムーズに動く状態にするイメージです。

特に若くて仕事を始めたばかりでさらに成長意欲も高い人は、仕事を長い時間頑張って量をガンガンこなし、さらには休日にも勉強するしたほうが当然速く成長できます
特に冒頭で話した『成長⇒仕事量増加⇒成長速度向上』の複利のループがあるため、社会人の最初で頑張るかどうかは後々大きな差になると感じます。

 

なおプログラマーという仕事も、閃きが大事なクリエイティブな仕事と見られておりそれは事実ではありますが、”守”の段階ではとにかく仕事量をこなすことが大事で、体に頻出ロジックのパターンを染み込ませ考えなくても指が動く状態にすることが重要です。
(以下記事でその内容について詳しく触れています)

doyaaaaaken.hatenablog.com

 

"破"・"離"の段階になると仕事時間を短くするほうが成長します
つまりここでの”成長”は仕事量主義から生産性主義にシフトし『少ない時間で大きな成果を上げれるようになる』ことを指しています。
生産性が上がることで結果的な仕事量が上がるだけでなく、時間的余裕が生まれ、既存の業務フローを改善する余裕が生まれたり新しいこともできるようになるため、生産性の向上は非常に大事です。
このフェーズでは創意工夫して仕事にかかる時間を極力減らすのが目標になります。

 

少し難しいのは、個人の中でスキルごとに”守破離”のフェーズは異なるという点です。
例えばプログラミングスキルは”離”だけれども、最近初めてやることになったインフラ運用スキルは”守”といった具合にです。

 

私自身、今やっている業務に関係するスキルがどの段階なのかによって、『長時間労働歓迎』のスタンスをとるのか『生産性重視』のスタンスを取るのかを変えています。
初めてやるような新しい業務を行うときは、あえて生産性を意識せず、むしろ長時間働いて色々試して体に覚えさせたりすることも多いです。
『自分が今型を覚えたいのか、それとも既に覚えた型の生産性を上げたいのか』という基準で、長時間労働か短時間労働どちらを目指すかを変えています。

 

新しいことを覚える際の思考のフレームとして、この記事が参考程度になればと思います。