Melting Pot of Thoughts

SaaSスタートアップのCTOです。思考の整理のため考えたことをメモとしてアウトプットしていくブログです。

チャットツールの功罪

かれこれ7年近く仕事でSlackを使っていますが、昔に比べてすごく便利になったなと感じています。


私は昔はメールを使っており、一瞬Yammer・Facebook Businessのような社内SNSを使っていた時期があり、その後はずっとSlackを使っています。
世の中的なトレンドを見ていても社内コミュニケーションツールとしては、メールは時代遅れなものとなり、SlackやMicrosoft Teamsのようなチャットツールが主流になってきているように感じます。大手保険会社のような堅めの文化の会社でも、LINE WORKS(ビジネス版LINE)を導入した事例もあるそうです。

社内だけでなく社外の人の仕事関係の連絡をする際も、メールではなくLINEやFacebook Messangerなどを使うことも多くなってきました。

 

メールと比べた際のSlackの利点は、次のような部分にあると思っています。

  • レスポンスの速さ(返信が数秒で返ってくることもある)
  • 情報共有の範囲を考えやすい(情報共有する際に「誰に共有するのか」を考える必要はなく、"channel"という関係者が参加したチャットルームを指定すれば良い)
  • 情報共有がオープンになりやすい(基本DMではなくchannelでやりとりするので、情報の専有が起きづらい)

個人的にも常日頃からその恩恵に預かっていますが、唯一メール時代のほうが良かったなと思う点もあります。
それは「チャットは刺激過多でありメールのように落ち着いて腰を据えた仕事がしにくい」という点です。


チャットはその性質上、自身に必要のない情報も含め頻繁に投稿されてしまうため、常に洪水のような情報量にさらされつづけます。

レスポンス速度はメールと比べて圧倒的に速く、昼食時間などのスキマ時間にも皆スマートフォンからせわしなく返信します。そのやりとりの速度に合わせて、自身も質問に回答したり依頼をこなしたりする必要があります。
そういう点で、チャットは刺激過多であり現代人にとって貴重なリソースである”集中力”を奪う欠点があると感じています

別の話ではあるのですが、「スマホ脳」という本に、似た話が書かれていました。
スマホには様々な刺激要素があります。
「LINEのメッセージが来ているかもしれない…」「SNSに投稿したコメントにリアクションはついたのか気になる」「アプリから通知が来ている」など例を挙げると枚挙がありません。
スマホ脳」という本では「スマホを手元に持っているだけで刺激を待ち構える期待が無意識に生じており、結果気が散ってテストの成績が下がる」という研究結果があるそうです。

個人的にはチャットにおいてもスマホと同じような感覚を抱いています。
チャットを開いているだけで、チャットの投稿がないかや、自身にメンションが来ていないか気になり、ついつい確認してしまうのです。
そして気になる投稿があればコメントしてしまったり、自身へのメンションに即レスポンスしてしまったりするのですが、それらの行動によって仕事としての価値はあまり生み出していない、ということが自身には多々ありました。

 

チャットは小さなバッチサイズのタスクを細かくチームで確認しながら進めていくスタイルには非常に効果を発揮するのですが、自分の内で深く集中して考えなければいけないクリエイティブな仕事には邪魔になることがあります。
そういう背景もあり私は(チームメンバーに断った上でですが)Slackを一時的に落として作業することがよくあります。
そしてSlackを落とすだけでものすごく集中できるようになるなと毎度実感しています。
またSlackを落としていた数時間の間に、そのことによってほとんど誰も困らないこともわかりました。

 

そういった考えがあるため、個人的にはクリエイティブな作業をする際にはチャットを一時的に落とす時間を作ることをライフハックとして行っています。